鶴澤 津賀寿(つるざわ つがじゅ)
《女流義太夫三味線方》
[贈賞理由]
鶴澤津賀寿さんは、義太夫節の三味線演奏家です。竹本駒之助さんに入門しましたが、三味線を得意としたことから、故四代目野沢錦糸さんに師事、さらに故鶴澤重輝師の預り弟子となって義太夫節三味線の研鑽に努め、平成六年からは駒之助さんの相三味線として技芸を磨いてきました。地道な自己錬磨に加えて、師匠駒之助さんの厳しい指導でめきめきと技芸を向上させ、毎年の駒之助の会では、大曲・難曲を見事に弾き分け、人間国宝駒之助さんの芸を引き立てる立派な演奏を示しています。その演奏は堅実でありながらも極めて華があり、加えて研究熱心な態度は、それぞれの曲の持つ深みを引き出す工夫に現れ、常に進歩のある演奏を示してきました。
勉強会「ひこばえ」による研究成果や花組芝居や郡司かぶきへの参加など、未来を志向した試みにも意欲を示し、本格的な女流の義太夫三味線の中堅としての活躍とともに、進取の精神をも取り込んだ仕事にも大いに期待が抱けると言えましょう。
[受賞者の芸歴]
昭和59年 竹本駒之助に入門
三味線を故四代目野澤錦糸に師事
昭和61年 5月 駒之助の義母故鶴澤三生の幼名津賀寿を継ぎ、本牧亭にて初舞台
故鶴澤重輝の預かり弟子となる
平成3年 芸団協助成新人奨励賞
平成7年 勉強会ひこばえ発足
社団法人義太夫協会理事に就任
第11回豊澤仙廣賞受賞
平成8年 第47回芸術選奨文部大臣賞新人賞(古典芸術部門)
平成9年 第11回清栄会奨励賞