池間 北斗池間 北斗(いけま ほくと)
《琉球箏曲》

第25回(令和3年・2021年度)受賞者

Recipient of the 25th JTCF Award for 2021
IKEMA Hokuto (Ryūkyū koto)

[贈賞理由]

琉球器楽の琉球箏・胡弓・笛・太鼓は専ら歌三線の伴奏楽器として機能してきた。琉球箏は本土の八橋検校の芸脈が琉球士族によって王府にもたらされ、独自の成長をみせて古典十曲を今日に伝えるも、箏曲の独奏楽器としての飛躍と発展は未だしの感がのこる。池間北斗は胡弓の森田夏子・笛の入嵩西諭と相図り「琉球器楽の会」(平成31年2月、那覇・パレット市民劇場)を企画、琉球箏の独奏楽器としての機能を探り、その可能性・未来性を追及して、高水準の成果をよく示した。現代琉楽に新生面を開拓する真摯な姿勢と情熱は高く評価され、また期待するところ大である。

[プロフィール]

琉球伝統箏曲琉絃会師範、伝統組踊保存会伝承者、琉球舞踊保存会伝承者。

1989年2月 沖縄県那覇市生まれ
1997年9月 琉球伝統箏曲琉絃会師範又吉貞子に師事
2007年4月 沖縄県立芸術大学音楽学部音楽学科琉球芸能専攻古典音楽コース入学
2008年3月 国立劇場おきなわ第一期組踊研修修了
2009年3月 琉球伝統箏曲琉絃会 教師免許取得
2011年3月 沖縄県立芸術大学音楽学部卒業
2017年10月 琉球伝統箏曲琉絃会 師範免許取
2017年12月 第24回賢順記念全国箏曲コンクール賢順賞受賞
  「沖縄タイムス芸術選賞」箏曲の部最高賞受賞

沖縄県立南風原高等学校郷土文化コースを経て沖縄県立芸術大学琉球芸能専攻を卒業。国立劇場おきなわの第1期組踊研修生として3年間組踊や琉球舞踊の地謡実技を学ぶ。終了後、国立劇場おきなわ主催公演、東京国立劇場、横浜能楽堂、京都芸術劇場春秋座、紀尾井ホールなどの琉球芸能公演に地謡として参加。京都四条南座で行われた坂東玉三郎特別公演や普久原恒勇作曲「響」にも箏として参加。海外ではジャパンソサエティのニューヨーク公演や韓国の琉球芸能公演に参加。

NHK Eテレ「にっぽんの芸能〜今かがやく若手たち〜」に箏独奏で出演。

琉球古典音楽・組踊・琉球舞踊・沖縄芝居においての地謡を務める。国立劇場おきなわの自主公演をはじめ、多くの方々の独演会、学校公演やワークショップなどに参加している。琉球箏曲の周知・発展を願い、和楽器や他ジャンルとのコラボレーションも積極的に行っている。

[芸歴]

2008年 3月8日 国立劇場おきなわ 第一期組踊研修修了発表会 「花売の縁」
  6月7日 国立劇場おきなわ 第22回企画公演『箏の世界』 「四季おりおり」
  9月27日 沖縄タイムス創刊60周年記念公演(桜坂劇場ホールA) 「十六夜朝顔」
  11月1日 沖縄県立博物館・美術館開館一周年オープニングイベント 「二童敵討」
2010年 2月28日 第10回地域伝統芸能まつり(NHKホール) 「二童敵討」
2011年 2月11日 沖縄伝統芸能公演(国立劇場おきなわ) 「手水の縁」
  3月11日 沖縄県立芸術大学 第18回卒業演奏会 「ぢゃんな節」
  4月10日 NHK おきなわの歌と踊り(国立劇場おきなわ) 「宿納森の獅子」
  6月19日 横浜能楽堂 祝いの型 江戸と首里 「花売の縁」など
  9月24日 比嘉聰独演会 光源の響き(国立劇場おきなわ) 錦綾雲、バチ、綾鼓
2012年 1月1日 国立劇場おきなわ 琉球舞踊公演 男性舞踊家の会 太鼓ばやしなど
  2月5日 銕仙会 「諸屯」「花売りの縁」
  3月10日 国立劇場(東京) 第15回琉球芸能公演 組踊と創作舞踊 おきなわの芸能の今、そしてこれから 「恋のいさり火」「十六夜朝顔」
  3月24日 国立劇場おきなわ 第1回若手伝承者公演(組踊既成者研修発表会) 「万歳敵討」
  4月8日 国立劇場おきなわ 第66回 沖縄の歌と踊り 「磯千鳥」など
  12月16日 第15回師籍五十周年記念 佐藤太圭子の会(国立劇場おきなわ) 「群星」「打組鳩間」「小赤頭」
2013年 2月9日 国立劇場おきなわ 組踊公演 「矢蔵之比屋」
  3月2日 タイムスホールこけら落とし公演 「人盗人」など
  3月8~10日 国立劇場(東京) 第16回琉球芸能公演 新作組踊と琉球舞踊 「聞得大君誕生」など
  3月15~17日 国立劇場おきなわ 特別企画公演 新作組踊「聞得大君誕生」 「聞得大君誕生」
  11月9日 横浜能楽堂 琉球舞踊 受け継がれる伝統~古典・雑踊・創作~ 創作舞踊「蜻蛉」など
2014年 5月10日 国立劇場おきなわ 研究公演 村々に伝わる組踊 「義臣物語」
  5月22~25日 国立劇場おきなわ 企画公演 新作組踊「聞得大君誕生」 「聞得大君誕生」「蓬莱島」
  6月5~12日 坂東玉三郎特別舞踊公演(京都四条 南座) 新作組踊「聞得大君誕生」「蓬莱島」
  7月29日 沖縄伝統芸の現在-新世代の組踊と琉球舞踊-(日本伝統文化振興財団 紀尾井ホール) 「執心鐘入」など
  11月5日 沖縄市市制施行40周年記念事業 ~響~(沖縄市民会館) 「響」
2015年 1月10日 国立劇場おきなわ 琉球舞踊公演 新春琉舞名人選 女踊り、雑踊り
  9月18、19日 横浜能楽堂連携事業『琉球舞踊受け継がれる伝統』(ニューヨーク ジャパン・ソサエティー) 女踊り、雑踊り、二才踊り
2016年 1月23日 国立劇場おきなわ 企画公演 新作組踊「初桜」
  2月20日 国立劇場おきなわ県外公演 沖縄の伝統芸能(茅ヶ崎市民文化会館) 「執心鐘入」、琉球舞踊
  6月5日 京都芸術劇場15周年 春秋座特別公演 琉球舞踊と組踊 「銘苅子」など
2017年 3月25日 国立劇場おきなわ 企画公演 新作組踊 さかさま「執心鐘入」
  4月8日 男性舞踊家公演 〜蓬莱〜(沖縄市民小劇場あしびなー) 「蓬莱」「守り紅型」など
  8月4日 三國三色(韓国) 舞踊、組踊
  11月14日 邦楽 華麗なる技 第13回琉球古典芸能 華やぎの声と舞の技(新日鉄住金文化財団 紀尾井小ホール) 「菅攪変奏曲」「加那天」「手水(忍び)」
  12月3日 第24回賢順記念全国箏曲コンクール(久留米市 石橋文化センターホール) 「千鳥」
  12月10日 玉城節子顕彰公演 翔舞美ら清ら(国立劇場おきなわ) 「祝い獅子」
2018年 1月8日 京都国立博物館 開館百二十周年記念公演 たまゆらの世界 「こてい」「諸屯」「軒端の梅」「手水の縁」など
  3月10日 第23回特別企画公演 琉球舞踊と組踊(国立文楽劇場) 女踊り、雑踊り、二才踊り、創作舞踊、「二童敵討」
  5月26日 国立劇場おきなわ 組踊公演 「大川敵討」
  7月29日 賢順記念全国箏曲祭25周年記念演奏会(新日鉄住金文化財団 紀尾小井ホール) 「千鳥」
  8月14日 NHKにっぽんの芸能『命かがやく歌舞の島〜沖縄〜』収録(琉球村) 「谷茶前」「浜千鳥」「汀間当」「加那天」「鳩間」
  8月23日 NHKにっぽんの芸能『いま輝く若手たち』収録 「千鳥」
  11月6日 日本伝統文化振興財団創立25周年記念公演 伝統文化の現在と未来 〜古典継承の最前線を聴く〜(紀尾井ホール) 「かせかけ」
  11月18日 NHK『にっぽんの芸能』出演記念コンサート 新鋭競演(加賀町ホール) 「六段」「千鳥」
  12月9日 沖縄タイムス顕彰公演 第17回 佐藤太圭子の会 華の宴(国立劇場おきなわ) 「鳩間」
2019年 1月12日 国立劇場おきなわ 企画公演 開場十五周年記念特別公演 琉球舞踊と組踊 組踊「辺戸の大主」
  2月2日 琉球器楽の会〜Reverbration〜(パレット市民劇場) 「七段菅攪」「水の舞」「月下」など
  3月9日 天皇陛下御在位三十年記念 組踊上演三百年記念 国立劇場おきなわ開場十五周年記念 組踊と琉球舞踊(東京 国立劇場) 「辺戸の大主」「浜千鳥」「むんじゅる」「汀間美童」「花風」「くば笠の鳩間」
  3月23日 国立劇場おきなわ 第100回企画公演 開場十五周年記念特別公演 新組踊「もどろみゆ華の命」
  5月15日 国立劇場おきなわ 第99回組踊公演 組踊「忠臣身替の巻」忠臣身替の巻
  9月21日 国立劇場おきなわ 第74回NHK沖縄の歌と踊りのつどい 公開収録 組踊版「スイミー」
  10月17日 紀尾井 午後の音楽会 世は情け 行逢ば兄弟(日本製鉄文化財団 紀尾井小ホール) 「上り口説」「伊野波節」「花風」「浜千鳥」
  11月16日 組踊上演300周年記念 沖縄県立芸術大学 組踊・琉球舞踊公演(うるま市民芸術劇場 響ホール) 新作組踊「黄金孵衣」
  12月9日 NHKラジオ深夜便 収録「瀧落菅攪」「千鳥」
2020年 3月21日 国立劇場おきなわ 企画公演 新作組踊「春時雨」
  8月21、22日 CD「明けもどろの賦 —沖縄胡弓の今昔—/上地呂敏」(日本伝統文化振興財団)録音 「朝どれの詠」「茶屋節」「仲節」「夕どれの詠」
  11月8日 国立劇場おきなわ 11月企画公演 アジア太平洋地域の芸能~箏~ 「千鳥」
2021年 2月12日 琉球芸能と二十五絃箏との出会い〜琉球恋慕〜(国立劇場おきなわ) 「琉球恋慕」など
  3月13日 国立劇場おきなわ 組踊公演 「手水の縁」

Reasons for the award:

In the context of Ryukyuan classical music, traditional instruments such as koto, kokyū, flute and drums have functioned in the past principally to accompany the uta-sanshin performers, who sing while playing the sanshin. The Ryūkyū koto was introduced into the royal court by the Ryukyuan nobility in the lineage established by Yatsuhashi Kengyō. Although it developed thereafter to some extent in its new setting with the emergence of ten pieces in the classical repertoire, the Ryūkyū koto has yet to develop into a solo instrument in its own right. Together with the kokyū player Morita Natsuko and the flute player Iritakenishi Satoshi, Ikema Hokuto formed a Ryukyuan instrumental group known as Ryūkyū Gakki no Kai which made its debut at the Palette Civic Theatre in Naha in February 2019. The concert represented a highly successful attempt to open up new possibilities for the Ryūkyū koto as a solo instrument. Ikema Hokuto’s dedication and enthusiasm for exploring new vistas for modern Ryukyuan music merit high praise and his activities in this area hold out great promise for the future.

Ikema Hokuto

Shihan in the Ryūgenkai school of Ryukyuan traditional koto music. Certified practitioner of the Society for the Preservation of Traditional Kumiodori and the Society for the Preservation of Ryukyuan Dance.

1989, February: Born in Naha City, Okinawa Prefecture.
1997, September: Began studying the Ryūkyū koto under Matayoshi Sadako in the Ryūgenkai school of Ryukyuan koto music.
2007, April: Entered the Faculty of Music at Okinawa Prefectural University of Arts to study classical music in the department of Ryukyuan performing arts.
2008, March: Completed the Kumiodori training course at the National Theatre, Okinawa in the year of its inception.
2009, March: Received the kyōshi junior teaching licence in the Ryūgenkai school of Ryukyuan koto music.
2011, March: Graduated from the Faculty of Music at Okinawa Prefectural University of Arts.
2017, October: Received the shihan senior teaching licence in the Ryūgenkai school of Ryukyuan koto music.
2017, December: Awarded the Kenjun Prize at the 24th National Kenjun Commemorative Koto Competition and the Senior Prize in the koto category at the Okinawa Times Art Awards.

Having initially studied in the local culture course at Okinawa Prefectural Haebaru Senior High School, Ikema Hokuto entered and graduated from the department of Ryukyuan performing arts at Okinawa Prefectural University of Arts. As a member of the first intake of trainees in Kumiodori performance at the National Theatre, Okinawa he studied performance of Kumiodori and Ryukyuan dance in the accompanying jiutē ensemble for three years. After completing his studies he began extensive performance activities in the jiutē ensemble, including appearances at the National Theatre, Okinawa, the National Theatre in Tokyo, the Yokohama Noh Theatre, the Shunjūza Kyoto Art Theatre and Kioi Hall. He took part also in special performances by Bandō Tamasaburō at the Shijō Minamiza in Kyoto and in Hibiki, a work composed by Fukuhara Tsuneo. Overseas he has taken part in performances of the Ryukyuan performing arts in New York at the Japan Society and in South Korea.

  He has appeared as a koto soloist on the NHK educational TV programme The Japanese Performing Arts: Scintillating New Performers.

  Ikema Hokuto is active as a performer in the jiutē ensemble in the fields of Ryukyuan classical music, Kumiodori, traditional dance and Okinawa Shibai theatre. He has appeared in many solo recitals and takes part in frequent school performances and workshops. With the aim of spreading awareness of the Ryūkyū koto and encouraging its future development he also engages in frequent collaborations with other Japanese instruments and genres.

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日本伝統文化振興財団賞
受賞者

第25回

池間 北斗

《琉球箏曲》

第24回

花柳 大日翠

《日本舞踊》

第23回

萩岡 松柯

《山田流箏曲》

第22回

新内 多賀太夫

《新内節》

第21回

菊央 雄司

《地歌箏曲・平家》

第20回

川瀬 露秋

《地歌箏曲・胡弓》

第19回

佐辺 良和

《琉球舞踊家、組踊立方》

第18回

山村 若

《上方舞》

第17回

豊竹 呂勢大夫

《人形浄瑠璃文楽 太夫》

第16回

清元 栄吉

《清元節 三味線方》

第15回

山本 泰太郎

《能楽師 狂言方 大蔵流》

第14回

大和 櫻笙

《大和楽 三味線方》

第13回

遠藤 千晶

《生田流箏曲》

第12回

松永 忠次郎

《長唄唄方》

第11回

十世 片山 九郎右衛門

《能楽シテ方観世流》

第10回

藤舎 呂英

《藤舎流囃子方》

第9回

今藤 長龍郎

《長唄三味線方》

第8回

亀井 広忠

《能楽師葛野流大鼓方》

第7回

藤井 昭子

《地歌》

第6回

善養寺 惠介

《古典尺八》

第5回

山登 松和

《山田流箏曲》

第4回

鶴澤 津賀寿

《女流義太夫三味線方》

第3回

清元 美治郎

《清元三味線方》

第2回

二代 米川 敏子

《生田流箏曲》

第1回

杵屋 直吉

《長唄唄方》

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