杵屋 直吉(きねや なおきち)
《長唄唄方》
[贈賞理由]
杵屋直吉は、祖父十四代杵屋六左衛門から父杵屋喜三郎、叔父杵屋勘五郎と長唄の由緒ある名門の出である。幼い時から祖父及び父親からてほどきを受け昭和三十五年に初舞台、昭和四十四年杵屋直吉を名乗り歌舞伎座で唄方としての初舞台をふんだ。以後、唄方としてめきめきと頭角をあらわし、その活躍ぶりはめざましいものがある。此処数年、舞台では坂東玉三郎の舞踊の立唄として、また長唄演奏会、共演のレコード、CDでの実績も多い。今回、ビクター伝統文化振興財団の第一回の受賞は今後直吉の活躍を期待してのことであるだけに、その意義も大きいものと思う。
[受賞者の芸歴]
昭和31年 十五世宗家 杵屋喜三郎の次男として生まれる。
祖父は十四世 杵屋六左衛門。叔父 杵屋勘五郎
同35年 「登茂栄会」で唄方を勤め初舞台。
同44年 帝劇での歌舞伎出演のため杵屋直吉を襲名。
祖父の十四世 杵屋六左衛門、父の十五世杵屋喜三郎、十一世都一中の各師に師事。
同53年 青山学院大学経営学部を卒業後、本格的な修行を初め、歌舞伎座、国立劇場、NHK、海外公演などで活躍。
同7年 松竹百年記念坂東玉三郎公演(1月日生劇場)より立唄として出演。
現在、社団法人長唄協会、杵屋会、一中節都会(芸名 都吉中)に所属。
長唄「双調会」「邦友会」を主宰。